再婚夫婦の遺言対策 / 前婚の子への相続を防ぐ方法と財産形成

再婚夫婦の遺言対策 / 前婚の子への相続を防ぐ方法と財産形成

「夫が亡くなったら、前妻との子どもに財産が渡ってしまうのでは…」「自営業の夫と一緒に築いた財産を守りたい」。再婚されたご夫婦からこのようなご相談を数多くいただきます。

再婚夫婦の遺言対策
前婚の子への相続を防ぐ方法と財産形成


再婚した夫の遺言対策
前婚の子への相続を防ぎ、妻の生活を守る方法


「夫が亡くなったら、前妻との子どもに財産が渡ってしまうのでは…」「自営業の夫と一緒に築いた財産を守りたい」。再婚されたご夫婦からこのようなご相談を数多くいただきます。


実際、遺言がない場合、前婚のお子さんには法定相続分があり、あなたの知らないところで財産の半分以上が渡る可能性もあります。さらに自営業の場合、事業用資産が相続対象となり、事業継続が困難になるケースも少なくありません。


この記事でわかること:

  • 前婚の子への相続を最小限にする遺言の書き方
  • 遺留分を考慮した現実的な対策方法
  • 自営業者の財産形成と相続対策の具体的手順
  • 専門家に依頼すべきタイミングと費用



1. 再婚夫婦の相続問題とは?


法定相続分の基本

再婚の場合でも、前婚のお子さんは法律上の相続人です。遺言がない場合、以下の割合で相続が発生します。


相続人の構成 配偶者(妻)の相続分 子ども全員の相続分
妻と子ども1人 1/2 1/2
妻と子ども2人 1/2 1/2(各1/4ずつ)
妻と子ども3人 1/2 1/2(各1/6ずつ)


例えば、夫の財産が5000万円で前婚の子が2人いる場合、遺言がなければ妻は2500万円、前婚の子は各1250万円ずつ相続する権利があります。


遺留分という壁

「すべての財産を妻に相続させる」という遺言を書いても、前婚の子には遺留分という最低限の取り分が法律で保障されています。子どもの遺留分は法定相続分の1/2です。


重要: 前婚の子1人の場合、遺留分は全財産の1/4となります。完全にゼロにすることは法律上できませんが、遺言によって最小限に抑えることは可能です。


自営業者特有のリスク

自営業の場合、以下が相続対象となります。

  • 事業用不動産(店舗、事務所、工場など)
  • 事業用資金(預金、売掛金など)
  • 設備、在庫、車両などの資産
  • 取引先との契約上の地位


これらが分散相続されると、事業継続が困難になり、妻の生活基盤が失われる危険性があります。


2. よくあるトラブル事例


ケース1:遺言がなく前婚の子から遺産分割協議を求められた

状況: 60歳の夫が急逝。自営業で築いた不動産と預金約8000万円が残された。前妻との間に30代の子どもが2人。


結果: 前婚の子から法定相続分(各2000万円)の支払いを求められた。事業用不動産を売却せざるを得ず、妻は事業を廃業し、住居も失った。


問題点: 遺言がないため法定相続が適用され、妻の意思に関係なく財産が分割された。事業継続を考慮した遺産分割ができなかった。


ケース2:自筆証書遺言が無効になった

状況: 夫が「全財産を妻に相続させる」という自筆の遺言を残していたが、日付の記載がなく、法的要件を満たしていなかった。


結果: 遺言が無効となり、結局は法定相続に。前婚の子への支払いで妻の生活資金が大幅に減少した。


ケース3:生命保険を活用しなかった

状況: 遺言で妻へ多くの財産を残したが、前婚の子から遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)を受けた。現金が不足し、不動産を売却して支払わざるを得なかった。


結果: 生命保険金(受取人指定)は遺留分の対象外になるケースが多いため、これを活用していれば遺留分の支払いに充てられた。


3. 遺言による相続対策の進め方


ステップ1:夫との話し合い

遺言は本人の意思で書くものです。以下のポイントを伝えて理解を得ましょう。


  • 二人で築いた財産を守りたいという気持ち
  • 妻の老後の生活の不安
  • 自営業の事業継続の必要性
  • 前婚の子との関係性や現状


感情的にならず、具体的な数字を示して「このままだと妻の取り分は○○万円になる」と説明すると効果的です。


ステップ2:財産の棚卸し

現時点での財産を正確に把握します。


財産の種類 確認すべき項目
不動産 自宅、事業用不動産の名義と評価額
預貯金 すべての口座の残高(事業用・個人用)
有価証券 株式、投資信託などの評価額
生命保険 保険金額と受取人の確認
事業資産 設備、在庫、売掛金など
負債 借入金、未払金など


ステップ3:遺言の種類を選択

遺言には主に3種類あります。


種類 メリット デメリット 費用
自筆証書遺言 費用が安い、手軽 無効になるリスク、紛失の危険 ほぼ無料

自筆証書遺言
(法務局保管)

紛失防止、形式チェックあり 内容の適切性は保証されない 3,900円
公正証書遺言 無効リスクほぼゼロ、紛失なし 費用がかかる、証人2名必要 5万円〜


おすすめ: 再婚で前婚の子がいる場合は、後々のトラブルを防ぐため公正証書遺言が最適です。法的効力が確実で、相続開始後の手続きもスムーズです。


ステップ4:遺言の内容を決定

遺留分を考慮した現実的な内容にします。


基本方針:

  • 妻に事業用資産と自宅を優先的に相続させる
  • 前婚の子には遺留分相当の現金または預貯金を指定
  • 遺言執行者を指定して手続きを円滑化
  • 付言事項で遺言の意図を説明


文例(イメージ):

第1条 遺言者は、遺言者の有する以下の財産を妻○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。
(1) 土地 所在○○ 地番○○
(2) 建物 所在○○ 家屋番号○○
(3) ○○銀行○○支店の預金全額



第2条 遺言者は、長男○○(昭和○年○月○日生)に金○○万円を相続させる。



第3条 遺言執行者として、行政書士○○を指定する。



付言事項:本遺言は、妻との生活と事業を守るために作成した...


ステップ5:遺言書の作成・保管

公正証書遺言の作成手順:

  1. 必要書類の準備(戸籍謄本、印鑑証明書、不動産登記簿謄本など)
  2. 公証人との事前相談(原案の作成)
  3. 証人2名の手配(行政書士に依頼可)
  4. 公証役場で遺言書作成(本人、公証人、証人2名が立会)
  5. 原本は公証役場で保管、正本と謄本を受領


所要期間:2週間〜1ヶ月程度


4. 自営業者の財産形成と相続対策


事業資産と個人資産の分離

自営業の場合、事業と個人の財産が混在しがちです。相続対策として明確に分けることが重要です。


  • 事業用口座と個人用口座を完全に分ける
  • 自宅と事業用不動産を別にする(可能であれば)
  • 帳簿で事業用資産を明確に管理する


生命保険の活用

生命保険金(受取人を妻に指定)は、原則として相続財産に含まれず、遺留分の対象外となる可能性があります。


効果的な使い方:

  • 遺留分の支払い資金として活用
  • 事業承継資金として活用
  • 相続税の納税資金として活用

例:前婚の子2人の遺留分合計が2000万円の場合、2000万円以上の生命保険に加入し、受取人を妻にする。


財産の形成方法

今後の財産形成において、妻の取り分を増やす方法です。


方法 内容 効果
妻名義での資産形成 妻の口座で貯蓄・投資 妻固有の財産として相続対象外
不動産の共有名義 自宅や事業用不動産を共有 妻の持ち分は相続対象外
生前贈与の活用 年間110万円まで非課税贈与 計画的に妻の財産を増やせる
夫婦間贈与の特例 居住用不動産は2000万円まで非課税 自宅を妻名義にできる


事業承継の準備

夫の死後も事業を継続する場合:

  • 妻が事業を引き継ぐための準備(許認可の確認など)
  • 従業員や後継者への引継ぎ計画
  • 取引先への説明と関係維持
  • 必要に応じて法人化を検討(相続対策として有効)


5. 専門家に依頼するメリット


自分でやる場合との比較


項目 自分で対応 専門家に依頼
法的有効性 △(要件不備のリスク) ◎(確実)
遺留分対策 △(知識不足で不十分) ◎(最適な対策)
所要時間 数ヶ月(調査に時間) 2〜4週間
費用 実費のみ(数千円〜) 10〜20万円程度
トラブル予防 △(想定漏れの可能性) ◎(多角的な対策)


行政書士に依頼するメリット


1. 法的に有効な遺言書の作成
形式不備で無効になるリスクを完全に排除。公正証書遺言の場合、公証人との調整も代行します。


2. 遺留分を考慮した最適なプランニング
完全にゼロにはできない遺留分を最小限にし、かつ後々の紛争を防ぐ内容を提案します。


3. 自営業特有の問題への対応
事業継続を前提とした財産分割、許認可の引継ぎ、事業用資産の保護など、自営業ならではの課題に対応します。


4. 生命保険や生前贈与など総合的な対策
遺言だけでなく、生前の財産形成から税務面まで、包括的なアドバイスを提供します。


5. 夫への説得サポート
第三者である専門家が同席することで、夫も客観的に状況を理解し、遺言作成に前向きになるケースが多くあります。


費用の目安

当事務所の場合:

  • 初回相談:無料(60分)
  • 公正証書遺言作成サポート:10万円〜15万円
  • 財産調査・相続対策コンサルティング:5万円〜
  • 生前贈与など総合的なプラン:別途お見積もり


※公証人手数料(5万円〜)は別途必要です


6. よくある質問(FAQ)


Q1. 夫が遺言を書きたがらない場合、どうすればいいですか?

A. まずは数字で現実を示すことが効果的です。「遺言がないと妻の取り分は○○万円で、老後の生活が困難になる」と具体的に説明しましょう。また、専門家の無料相談を一緒に受けることで、第三者の客観的な意見が説得力を持ちます。多くの場合、専門家が同席するとご本人も真剣に考え始めます。


Q2. 遺留分を完全にゼロにする方法はありませんか?

A. 法律上、子どもの遺留分を完全にゼロにすることはできません。ただし、生前に前婚の子と「遺留分放棄」の手続きを行い、家庭裁判所の許可を得れば可能です。しかし、本人の同意が必要で、対価の支払いを求められることもあり、現実的には困難なケースが多いです。そのため、遺留分の支払いに備えた資金準備(生命保険など)が実務的な対策となります。


Q3. 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいいですか?

A. 再婚で前婚のお子さんがいる場合は、確実性の高い公正証書遺言を強くお勧めします。自筆証書遺言は費用が安い反面、形式不備で無効になるリスクがあり、相続後に前婚のお子さんから異議が出やすくなります。公正証書遺言は公証人が関与するため法的効力が確実で、紛争予防効果も高いです。


Q4. 遺言は一度書いたら変更できませんか?

A. いいえ、遺言は何度でも書き直せます。新しい遺言が古い遺言に優先します。財産状況や家族関係の変化に応じて、定期的に見直すことをお勧めします。特に自営業の場合、事業規模や資産状況が変わるため、3〜5年ごとの見直しが理想的です。


Q5. 夫が認知症になってからでも遺言は書けますか?

A. 認知症の程度によります。遺言を書くには「遺言能力」(自分の財産を理解し、誰に何を残すか判断できる能力)が必要です。認知症が進行すると遺言能力が否定され、作成した遺言が無効になる可能性があります。そのため、お元気なうちに早めに準備することが重要です。


Q6. 生命保険は本当に遺留分の対象外ですか?

A. 原則として、受取人が指定された生命保険金は相続財産に含まれず、遺留分の対象外です。ただし、保険金額が極端に高額で、他の相続人への配分とのバランスを著しく欠く場合は、例外的に遺留分の対象とされることがあります。個別の状況により判断が分かれるため、専門家への相談をお勧めします。


Q7. 前婚の子と音信不通ですが、相続のとき連絡が必要ですか?

A. はい、相続が開始したら、前婚のお子さんも法定相続人として遺産分割協議に参加する権利があります。音信不通でも戸籍から住所を調べて連絡する必要があります。公正証書遺言で明確に財産配分を決めておけば、遺産分割協議自体が不要になるため、トラブルを最小限にできます。


7. まとめ:今すぐ取るべきアクション


再婚家庭の相続対策は、早めの準備が何より重要です。以下のチェックリストに沿って、できることから始めましょう。


  • 夫婦で現状を確認する
    財産状況、前婚の子の人数と関係性、妻の老後の不安について話し合う
  • 財産の棚卸しをする
    不動産、預貯金、事業資産、負債など、現時点での財産を一覧表にまとめる
  • 法定相続分と遺留分を計算する
    遺言がない場合の相続割合と、最低限支払う必要がある遺留分を把握する
  • 生命保険の受取人を確認・見直す
    受取人が前妻のままになっていないか確認し、必要に応じて妻に変更する
  • 専門家に相談する
    無料相談を利用して、自分たちのケースに最適な対策を知る
  • 公正証書遺言を作成する
    専門家のサポートを受けながら、法的に有効な遺言書を完成させる
  • 今後の財産形成計画を立てる
    妻名義での貯蓄、生前贈与、共有名義での不動産購入など、長期的な対策を実行する
  • 定期的に見直す
    3〜5年ごと、または大きな財産変動があったときに、遺言内容を更新する


特に急ぐべきケース:

  • 夫が50代後半以上で健康不安がある
  • 事業用資産が多く、相続で事業継続が困難になる可能性がある
  • 前婚の子との関係が良好でなく、相続時の紛争が予想される
  • 夫婦の年齢差が大きく、妻の老後が長期にわたる見込み


次のステップ

相続対策は「いつか」ではなく「今」始めることが大切です。まずは以下のステップから着手しましょう。


  1. 今週中: 夫婦で財産状況と将来の不安について話し合う時間を設ける
  2. 今月中: 専門家の無料相談を予約し、具体的なアドバイスを受ける
  3. 3ヶ月以内: 公正証書遺言の作成を完了する
  4. 継続的に: 生命保険の加入・見直し、妻名義での資産形成を実行する


「まだ早い」と思っているうちに時間は過ぎてしまいます。万が一のことは突然やってきます。大切な財産と妻の生活を守るために、今日から行動を始めてください。


8. 無料相談のご案内


初回相談60分無料

再婚家庭の遺言・相続対策に精通した行政書士が、あなたの状況に合わせた最適なプランをご提案します。


こんなお悩みをお持ちの方へ:

  • 夫にどう遺言作成を切り出せばいいかわからない
  • 遺留分でどれくらい支払う必要があるのか知りたい
  • 自営業の事業を守りながら相続対策をしたい
  • 生命保険や生前贈与など、総合的な対策を相談したい
  • 前婚の子とトラブルにならない方法を知りたい


ご相談方法:

対面相談・お電話相談からお選びいただけます。
平日夜間・土日祝日のご相談も対応可能です。

ひろさわ行政書士事務所

〒501-0236 

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営業時間:平日 9:00 ~18:00

(土日祝日・夜間は事前予約制)

対応エリア:瑞穂市、本巣市、

      大垣市、岐阜市ほか

※ご相談内容の秘密は厳守いたします。
※無理な勧誘は一切いたしませんので、お気軽にご相談ください。


【免責事項】


本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な法律相談ではありません。実際の相続対策は、個々の事情により最適な方法が異なります。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。また、法改正等により内容が変更される場合がありますので、最新の情報をご確認ください。


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